灌仏
かんぶつ
名詞
標準
文例 · 用例
今年、四月八日、灌仏会に、お向うの遠藤さんと、家内と一所に、麹町六丁目、擬宝珠屋根に桃の影さす、真宝寺の花御堂に詣でた。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
今日は御所からもたらされて灌仏が六条院でもあることになっていたが、導師の来るのが遅くなって、日が暮れてから各夫人付きの童女たちが見物のために南の町へ送られてきて、それぞれ変わった布施が夫人たちから出されたりした。
— 藤のうら葉 『源氏物語』 青空文庫
御所の灌仏の作法と同じようにすべてのことが行なわれた。
— 藤のうら葉 『源氏物語』 青空文庫
――花御堂の灌仏会、お釈迦さまも裸になって、善男善女が浮かれだして、赤い信女がこっそり寺の庫裡へ消えて、数珠と杯を両手の生き仏から怪しい引導を渡されるのもこの月にしばしば聞くうわさの一つです。
— 開運女人地蔵 『右門捕物帖』 青空文庫
しかも、六地蔵ともに寄進の年月はついおととしの、日もまたそろって同じ灌仏会のある四月八日でした。
— 開運女人地蔵 『右門捕物帖』 青空文庫
四月八日の灌仏会の日がきて、阿宝が水月寺へ参詣するということを聞いて、朝早く往って道中で待っていた。
— 田中貢太郎 『阿宝』 青空文庫
この頃|伯林の灌仏会に滔々として独逸語で演説した文学士なんかにくらべると倫敦の日本人はよほど不景気と見える。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
北京版の甘珠爾は甘粛省敦煌の雷音寺(千仏洞)の経窟におさめられているが、毎年、五月初めの灌仏会大法要には、一切経を拝むために、青海のツァイダン王や、甘粛新彊の端郡王までが、はるばる敦煌まで出かけて行くくらいのものである。
— 久生十蘭 『新西遊記』 青空文庫