色斑
いろむら
名詞
標準
文例 · 用例
またゲエテはナポリ人が馬車を赤くし、馬首に旗を飾り、色斑らな帽子を被るのは趣味の野蠻なのではなくて、明るい周圍の爲めだと云つてゐる。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
即ち新しき筵を敷いた神殿の床の上には、黄ろい綸子や藍の玉蟲の綾などの直衣を着た禰宜が色斑らに並ぶ。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
『人皇は七十七代後白河天皇御建立、……千一體のうちに三萬三千三百三十三體の觀音樣が拜まれます』……と唄ふ案内の小僧のねむたい曲節の中にも、色斑らな女異人の一行があまり似付かはしくもなく見えるのである。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
京都や大阪の町、及びそこの形態的生活は友禪的に色斑らに、ちやうど抱一が畫いた菊の花瓣のやうに綺麗である。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
それに對した側には色斑らな上衣及びスカウトの西洋婦人の一群が好奇の目を※つて「チヤノユ」の珍妙の手續を見て居たが、今第一の茶が同邦人の前に配せられた時一齊に手を叩いた。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
背中は褐色斑紋のある暗灰色の筈だが、腹部なので灰白色であり、既に多くの虫を呑んだと見えて、でっぷり脹らんで、時々大きく息をしている。
— 豊島与志雄 『守宮』 青空文庫
アントオニオ 丈高く美しい人には歌謡の舞蹈、色斑らなる仮面には炬火の光、臥し眠る心にはさゆらぎの律動を鳴らす音楽、わかき女には鏡、花には明るい温い太陽の光、即ち一つの眼――美が初めて自己を認める調和の源……それ等のものをば、自然は彼の内心の光のうちに発見したのだ。
— ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 『チチアンの死』 青空文庫
古生層の緑色斑岩を主塊となす峻峰白根三山が、太平洋へ向かって長い裾を延ばした、その襟のあたりに水源を持つ興津川の水は玉のように洒麗である。
— 佐藤垢石 『香魚の讃』 青空文庫