木棚
きだな
名詞
標準
文例 · 用例
漸く彼女が、階段を降りて地上に立つた時、ふりそゝぐやうにかぶさる、秋の強い日光の黒い木棚のそばに、戀人の青い衣の輝きを見た。
— 素木しづ 『幸福への道』 青空文庫
植木棚のうえには、紅や紫の花をつけている西洋草花が取出されてあった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
何時でも座敷を奇麗に片附け、床の間には幅を掛け花を活け、庭には植木棚を作って盆栽の二、三十鉢も列べて置くという風で、儀式張った席へ臨む時は、質屋で着更えて行くと本人はいっていたが、左に右く黒紋付の対に仙台平という拵えだったから、岡目には借金に苦められてるとは少しも見えなかった。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
植木鉢、草花、花束、植木棚、その間を靜かに流れるは、艶消の金の光を映しつつ、入日の運を悲んで、西へ伴ふセエヌ川、紫色の波長く恨をひいてこの流、手摺から散る花びらをいづこの岸へ寄せるやら。
— 上田敏 『牧羊神』 青空文庫
木棚一重に画られたそこには、黒い顔をした大人や子供が、ずらりと首を並べて凝っと動かない列車や、乗込もうとして急ぐ旅客、威厳を繕って腕組みする同じ黒人のポータア等を眺めているのである。
— 宮本百合子 『南路』 青空文庫
俥宿と馬舎との間の地処にかこいをして草を植え、植木棚をつくり、小さな祠を祭って、毎朝表通りの店から散歩にくる老旦那もあった。
— 町の構成 『旧聞日本橋』 青空文庫
海岸の木棚の共同墓碑。
— 海のモザイク 『踊る地平線』 青空文庫
ここでも、木棚の肌は遊子のナイフのあとで一ぱいだ。
— 白夜幻想曲 『踊る地平線』 青空文庫