沈鐘
ちんしょう
名詞
標準
文例 · 用例
蒸し暑く息づまつた空氣の底から、何かの恨みか不滿足かを訴へる沈鐘の響きのやうに、お鳥のいはゆる「水牛」の聲が響いて來るのだ――云ひかへれば、義雄自身のまだこれでは不滿足な戀の恨みがその息ぐるしさを訴へるやうに!
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
予は近くは独逸のゲルハルト・ハウプトマンの沈鐘を読んだ。
— 森鴎外 『鴎外漁史とは誰ぞ』 青空文庫
沈鐘伝説などということを、ここでは説かないことにしなければならない。
— 岡本綺堂 『鐘ヶ淵』 青空文庫
ハウプトマンの『沈鐘』を読むと、鐘師のハインリツヒが山の上で怪しい女と酒を飲んで踊つてゐると、村に残した子供二人が、大事さうに小さな瓶を提げて坂を上つて来る。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
さうすると――そら、そこに小さな蜂が舞つてゐるでせう、その蜂を見るとふと私はあの「沈鐘」の森の娘ラウデンデラインと同じやうな気になつてしまつたの。
— 牧野信一 『駒鳥の胸』 青空文庫
「沈鐘」の中で私の一番好きな唄、それは今私が思はず口走つたところなので、ラウデンデラインが蜂を追ひはらう唄なんですの。
— 牧野信一 『駒鳥の胸』 青空文庫
「森の姫よとうたはれて」とか「どこからわたしや来たのやら」などゝいふ唄で艶子は「沈鐘」を思ひ出しました。
— 牧野信一 『駒鳥の胸』 青空文庫
) その日は、いつか二人が花園で沈鐘の歌をうたつたときと同じやうに晴れた春の朝でした。
— 牧野信一 『駒鳥の胸』 青空文庫