快音
かいおん
名詞
標準
pleasant sound
文例 · 用例
あの首のくゝれたやうな独特の形をした罎の口を塞いでゐる円い硝子玉、それを拇指でぐつと押すと、ポン・シユッと胸のすくやうな快音を立てて抜ける、あの原始的な素朴なやり方を知らなかつたのだ。
— 加能作次郎 『乳の匂ひ』 青空文庫
学友の一人にハーモニカを吹きならす者がいて、そのえも云われぬ快音に光也はホレボレと心を奪われたのである。
— 坂口安吾 『牛』 青空文庫
「雷鳴」を聞く耳にも新らしい思ひの生じたことを感じるのは、昔の五月雨に伴ふ初雷はひたすら爽快音だつたのに引きかへ、いま聞くかみなりの音は、どうしても過ぐる日の爆撃音と、その日の追憶を新たにせずにゐない。
— 木村荘八 『東京の風俗』 青空文庫
グラウンドには、真新らしいユニホームの大学の選手たちが、快音を谺するシート・ノックの白球を追って、きびきびと走り廻っている。
— 山川方夫 『昼の花火』 青空文庫
おもえばおふたりが御えんぐみをあそばしてから、ことしで足かけ六ねんと申すみじかいおんちぎりでござります。
— 谷崎潤一郎 『盲目物語』 青空文庫