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履穿

履穿
名詞
1
標準
文例 · 用例
」と草履穿きの半纏着、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。
泉鏡花 歌行燈 青空文庫
中に挾まれたのは、弱々と、首の白い、髮の濃い、中年増と思ふ婦で、兩の肩がげつそり痩せて、襟に引合せた袖の影が――痩せた胸を雙の乳房まで染み通るか、と薄暗く、裾をかけて、帶の色と同じやうに――黒く映して、ぴた/\ぴた/\と草履穿か、地とすれ/\の褄を見た。
泉鏡太郎 三人の盲の話 青空文庫
素足草履穿にて、その淡き姿を顕わし、静に出でて、就中杉の巨木の幹に凭りつつ――間。
泉鏡花 多神教 青空文庫
禽も啼かざる山間の物静かなるが中なれば、その声谿に応え雲に響きて岩にも侵み入らんばかりなりしが、この音の知らせにそれと心得てなるべし、筒袖の単衣着て藁草履穿きたる農民の婦とおぼしきが、鎌を手にせしまま那処よりか知らず我らが前に現れ出でければ、そぞろに梁山泊の朱貴が酒亭も思い合わされて打笑まれぬ。
幸田露伴 知々夫紀行 青空文庫
二人は草履穿きで、野生児のようにそこらを駈けまわった。
徳田秋声 仮装人物 青空文庫
故郷では俎板へ鼻緒をすげたやうな「ナンバ」といふものを穿かなければ刈れないやうな深田もあるが、こゝでは草履穿きで稻刈が出來る。
長塚節 芋掘り 青空文庫
その女は臙脂を塗って白粉をつけて、婚礼に行く時の髪を結って、裾模様の振袖に厚い帯を締めて、草履穿のままたった一人すたすた羅漢寺の方へ上って行った。
夏目漱石 彼岸過迄 青空文庫
彼は草履穿のままで、何度かその高い石段を上ったり下ったりした。
夏目漱石 道草 青空文庫