悦服
えっぷく
名詞
標準
文例 · 用例
其国の徳衰え沢竭きて、内憂外患こも/″\逼り、滅亡に垂とする世には、崩じて諡られざる帝のおわす例もあれど、明の祚は其の後|猶二百五十年も続きて、此時太祖の盛徳偉業、炎々の威を揚げ、赫々の光を放ちて、天下万民を悦服せしめしばかりの後なれば、かゝる不祥の事は起るべくもあらぬ時代なり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
諸国が弱い者ばかりといふ訳ではあるまいが、一つには官の平生の処置に悦服して居なかつたといふ事情があつて、むしろ民庶は何様な新政が頭上に輝くかと思つたために、将門の方が勝つて見たら何様だらうぐらゐに心を持つてゐたのであらう。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
平生賢明の譽れ高く領内の悦服尋常でなかつたゞけ、誰一人吾領主に同情を寄せぬものはない。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
深く悦服して居る領主の心を計りかね、輕々しき行動は控へて居るものゝ、若しも小室が何等か恨を晴らさうとするならば、火も水も物かはと躍り出るもの五人や十人ではない。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
果して然らば、啻に国体を維持し、外夷の軽侮を絶つのみならず、天下之士、朝廷改過の速なるに悦服し、斬奸の挙も亦|迹を絶たむ。
— 森鴎外 『津下四郎左衛門』 青空文庫
来聴者の悦服した所以である。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
信長は畏服させたし、秀吉は悦服させた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
◎吾人は必ずしも現内閣に悦服する者に非ず。
— 石川啄木 『雲間寸觀』 青空文庫