風俗小説
ふうぞくしょうせつ
名詞
標準
novel depicting customs and manners of the day
文例 · 用例
老大家の風俗小説らしく昔の夢を追うてみたところで、現代の時代感覚とのズレは如何ともし難く、ただそれだけの風俗小説ではもう今日の作品として他愛がなさ過ぎる……。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
もし、歴史文学を志す人々が、今日の歴史の根本の性格をいかに捕えるかという努力を放擲して、現象の姿の相似を過去の出来事の中に見出してだけ行ったとすれば、もう其は歴史文学とは云えず、単に過去を題材とした風俗小説になってしまうだろう。
— 宮本百合子 『歴史と文学』 青空文庫
畢竟バルザックは当時一風潮としてきざしはじめた人生批判なき市井生活の風俗小説の傾向によって読まれたにすぎず、ドストイェフスキーは不幸な再登場によって文学そのものの発展を混乱させている心理主義の趣好者を満足させたに過ぎなかった。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
しかしながら、散文精神の発足にやはり時代のかげが落ちていて、芸術が現実へ働きかけてゆく面からそれが云われず、どちらかと云うと、現実の反映としての小説をより見たことは、散文精神が、市井風俗小説を多産するに至ったことで裏づけられている。
— ――思意的な生活感情―― 『現実と文学』 青空文庫
それは要するにその点の再吟味であり、散文精神が今日の文学の受動性の枠づけとならぬよう、文学のリアリティーを風俗小説の範囲にとじこめぬよう、そのことが論ぜられたのであったと思われる。
— ――思意的な生活感情―― 『現実と文学』 青空文庫
この傾向は、自然主義が日本に移植されてから、その社会的事情に従って次第に低俗な写実主義に陥って来ている文学の伝統と計らずも微妙な結合を遂げ、今日一部の作家に見られる些末的な、或は批判なき風俗小説を生むに至っている。
— 宮本百合子 『今日の文学の鳥瞰図』 青空文庫
文学の作品、とくに小説には風俗描写のおもしろみというものもあって、戦後にあらわれている多くの小説の中の女性は、若いひとを扱ったにしろ、中年から老年の女を描くにしろ、大部分がその風俗小説的な角度であつかわれていることは、どなたもお気づきのとおりです。
— 宮本百合子 『私の書きたい女性』 青空文庫
風俗小説の範囲で現実を見るだけでも、女の社会的な動きの一方には、婦人の参議院議員からはじまって少女歌劇の女優、婦人作家をふくむ女重役というものがあらわれているし、兜町・堂島に、女の相場がはやって来ています。
— 宮本百合子 『私の書きたい女性』 青空文庫
作例 · 標準
彼は現代社会の歪みを鋭く突いた風俗小説を書き、若い世代から圧倒的な支持を得た。
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その風俗小説を読み進めるうちに、都会のきらびやかな世界の裏側が見えてくる。
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流行作家による風俗小説は、出版されるやいなや瞬く間にベストセラーとなった。
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