熏
熏
名詞
標準
文例 · 用例
此の習慣は吾人の靈性を熏染して、熏染又熏染、遺傳又遺傳、先祖代々同一情状を重複した結果、電燈もあれば瓦斯燈もある今日に於ても猶且吾人は、日出でて起き、日入つて睡るといふ周期作用に服從して居る。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
「別に御馳走と云つては無いけれど、松茸の極新いのと、製造元から貰つた黒麦酒が有るからね、鶏でも買つて、寛り話さうぢやないか」 遊佐が弄れる半月形の熏豚の罐詰も、この設にとて途に求めしなり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
浴槽の緑の湯の中に、熏陸、烏薬、水銀郎等の、××質が入れてあったことを。
— 国枝史郎 『血ぬられた懐刀』 青空文庫
もし、この世界を唯心の世界とし、精神中に包有する原因に従ってわれわれの境遇の起こることを知らば、われわれの死するときは、わが一生中の言行と、前世の業因とが相合して、その精神中に熏伝し、他日、精神再起の暁にその結果を開き、あるいは人間界、あるいは天上界等に、さらに一生を現ずることが分かりましょう。
— 井上円了 『通俗講義 霊魂不滅論』 青空文庫
唄音風ニ順ツテ碧波ニ入ルニ逢ヒ、蛤聞熏ノ力ニ因ツテ海浪ニ激揚セラレテ自ラ天王寺ノ西ノ浜畔ニ着キタルトキ、童僕戯レニ抛ツテ天王寺堂前ノ床ニ置キタルニ、(註、大阪の天王寺が昔いかに海に近かったかということが、此の記事に依って想像される。
— 谷崎潤一郎 『覚海上人天狗になる事』 青空文庫
唯縁熏発シテ幸ヒニ信輩ノ熊野ニ詣ルモノヲ乗セタルガ為メニ、更ニ転生シテ第四生ニハ柴燈ヲ燃ヤスノ人身トナルコトヲ得タリ。
— 谷崎潤一郎 『覚海上人天狗になる事』 青空文庫
常ニ火光ヲ以テ道路ヲ照ラスガ故ニ智度ノ浄業漸々ニ熏増シテ、第五生ニハ吾ガ廟前密法修法ノ承仕給者トナル。
— 谷崎潤一郎 『覚海上人天狗になる事』 青空文庫
晨天ニ閼伽ヲ汲ンデ運ビ、昏暮ニ浄花ヲ採ツテ摘ミ、香ヲ抹ンデ熏煙ヲ凝ラシ、飯ヲ炊イテ滋味ヲ調ヘ、耳ニハ常ニ三密ノ理趣ヲ聴キ、目ニハ自カラ五観ノ妙相ヲ見ル。
— 谷崎潤一郎 『覚海上人天狗になる事』 青空文庫