清心
せいしん
名詞
標準
文例 · 用例
「たまたま逢ふに切れよとは、仏姿にあり乍ら、お前は鬼か清心様」という歎きは十六夜ひとりの歎きではないであろう。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
また例えば、清元の「十六夜清心」のうちの「梅見帰りの船の唄、忍ぶなら忍ぶなら、闇の夜は置かしやんせ」のところも同様の形をもっている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
これで蛭に悩まされて痛いのか、痒いのか、それとも擽つたいのか得もいはれぬ苦しみさへなかつたら、嬉しさに独り飛騨山越の間道で、御経に節をつけて外道踊をやつたであらう一寸清心丹でも噛砕いて疵口へつけたら何うだと、大分世の中の事に気がついて来たわ。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
もしもし、清心様とおっしゃる尼様のお寺はどちらへ、と問いくさる。
— 泉鏡花 『清心庵』 青空文庫
今朝のこッたね、不断|一八に茶の湯のお合手にいらっしゃった、山のお前様、尼様の、清心様がね、あの方はね、平時はお前様、八十にもなっていてさ、山から下駄穿でしゃんしゃんと下りていらっしゃるのに、不思議と草鞋穿で、饅頭笠か何かで遣って見えてさ、まあ、こうだわ。
— 泉鏡花 『清心庵』 青空文庫
御遊山を遊ばした時のお伴のなかに、内々|清心庵にいらっしゃることを突留めて、知ったものがあって、先にもう旦那様に申しあげて、あら立ててはお家の瑕瑾というので、そっとこれまでにお使が何遍も立ったというじゃアありませんか。
— 泉鏡花 『清心庵』 青空文庫
名僧の、智識の、僧正の、何のッても、今時の御出家に、女でこそあれ、山の清心さんくらいの方はありやしない。
— 泉鏡花 『清心庵』 青空文庫
愛想も盡かさず、こいつを病人あつかひに、邸へ引取つて、柔かい布團に寢かして、寒くはないの、と袖をたゝいて、清心丹の錫を白い指でパチリ……に至つては、分に過ぎたお厚情。
— 泉鏡太郎 『火の用心の事』 青空文庫