潜
せん
名詞
標準
文例 · 用例
それから鳥などが草の中を潜るということを『万葉集』等に「くく」「くき」ということがありますが「草ぐき」というのは名詞になっているのであります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
これを「潜る」という語を聯想して「くぐ」と読んでおりますが、これは「くく」で濁らないのです。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
そうして、二元のために、特に二元の隔在的沈潜のために形成さるる内部空間は、排他的完結性と求心的緊密性とを具現していなければならぬ。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
換言すれば、「いき」の論理的言表の潜勢性と現勢性との間には截然たる区別がある。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
体験さるる意味の論理的言表の潜勢性を現勢性に化せんとする概念的努力は、実際的価値の有無または多少を規矩とする功利的立場によって評価さるべきはずのものであろうか。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
「沈潜」のうちにも過去を擁する止揚の感情が表わされている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
肉声で聴く場合には色々の煩わしさが伴ってかえって心の沈潜が妨げられることがあるが、レコードは旋律だけの純粋な領域をつくってくれるのでその中へ魂が丸裸で飛び込むことができる。
— 九鬼周造 『小唄のレコード』 青空文庫
そして「粗野で逞しいポーズ」と、そのポーズの背後に潜んでゐる「優しくいぢらしいセンチメント」とは、彼のあらゆる小説と詩文学とに本質してゐるものなのである。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫