編み掛け
あみかけ
名詞
標準
文例 · 用例
さて鼻柱の上に目金を載せて、編み掛けた所に編鍼を插して、ゆたかに炉の傍に陣取つた。
— SANKT NIKOLAUS BEI DEN SCHIFFERN 『聖ニコラウスの夜』 青空文庫
このごろは雨が陰気に降りつづいて、何をするにも、もの憂くて、きょうはお座敷の縁側に籐椅子を持ち出し、ことしの春にいちど編みかけてそのままにしていたセエタを、また編みつづけてみる気になったのである。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
膝の上には遠目にも何か編みかけらしい糸の乱れが乗っていて、それへ斜にうっとりとした女の子が凭れかかっていた。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
我は編みかけたる環飾を、我唇におし當てたるまゝ、驚きて彼の方を見居たり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
」 細君は、編みかけの赤とオリイヴ色とが交ったネクタイをいじりながら返事をしなかった。
— ――夫婦哲学―― 『花嫁の訂正』 青空文庫
感じのわるくない六畳で、白いカアテンのかかった硝子窓の棚のうえに、少女雑誌や翫具がこてこて置かれ、編みかけの緑色のスウェタアが紅い座蒲団のうえにあった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
おくみは行李からレイス糸を出して、いたづらに、小さい肩掛袋を編みかけた。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
周子は、賢太郎が編みかけて行つた自分の上着を編み続けてゐた。
— 牧野信一 『「悪」の同意語』 青空文庫