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無常観

むじょうかん
名詞
1
標準
文例 · 用例
彼の文学は、本質的に我が『方丈記』や『徒然草』の類と同じく、仏教的無常観によった『遁世者の文学』であり、ヘルン自身がまた現実の『遁世者』であった。
室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 小泉八雲の家庭生活 青空文庫
かくの如きは、古くから日本の文学を裏付けてゐる無常観で、あまりに常套な、又あまりに感傷的な句ではあるが、しかも時の姿、流れの姿は、人の身の上ばかりでなく、川それ自身の栄華をすら、鼠色に暮れゆく川上の、遠山に沈む斜陽のうす黄色の中に、うすら寒い谷の影を、描き出されるやうになつた。
小島烏水 天竜川 青空文庫
このような思想はまた一面において必然的に仏教の無常観と結合している。
寺田寅彦 徒然草の鑑賞 青空文庫
思うに仏教の根底にある無常観が日本人のおのずからな自然観と相調和するところのあるのもその一つの因子ではないかと思うのである。
寺田寅彦 日本人の自然観 青空文庫
すなわち仏教伝来以後今日まで日本国民の間に浸潤した無常観が自然の勢いで俳句の中にも浸透したからである。
寺田寅彦 俳句の精神 青空文庫
仏教的な無常観から解放された現代人にとっては、積極的な「風流」、能動的な「さび」はいくらでも可能であると思われる。
寺田寅彦 俳句の精神 青空文庫
俳句を修業するということは、以上の見地から考えると、退嬰的な無常観への逃避でもなければ、消極的なあきらめの哲学の演習でもなく、またひとりよがりの自慰的お座敷芸でもない。
寺田寅彦 俳句の精神 青空文庫
即ち、頭の中だけで造り上げられた少年の虚無観に、今や、実際の身辺の観察から来た直接な無常観が加わって来たのだ。
中島敦 狼疾記 青空文庫