幻辞.com

名詞
1
標準
文例 · 用例
日影うらうらと霞みて朝つゆ花びらに重く、風もがな蝴蝶の睡り覺ましたきほど、靜かなる朝の景色、甚之助子供ごヽろにも浮き立て、何時より早く庭にかけ下りれば、若樣、と隙かさず呼びて、笑顏をまづ見する庭男に、其まヽりて箒木の手を動かせず、吾助お前は畫がかけるかと突然に問ふ可笑しさ。
樋口一葉 曉月夜 青空文庫
」 叱られて去つた妻君の象が彼の眼底に残つた時、彼は死んだ自分の子供にりついて泣いた妻君を思つた、次いで眼の前の母親が同情された。
中原中也 医者と赤ン坊 青空文庫
三ノ池は一ノ他の半分ほどしかないが、木が茂って松蘿が、どの枝からも腐った錨綱のようにぶら下っている、こればかりではない、葛、山紫藤、山葡萄などの蔓は、木々の裾から纏繞いて翠の葉を母木の胸に翳し、いつまでもここにいてと言わぬばかりに取りっている。
小島烏水 梓川の上流 青空文庫
そこへ持って来て、子供二人と老母と嬶とこれだけの人間が、私を、この私を一本の杖にしてってるんです。
葉山嘉樹 牢獄の半日 青空文庫
我らはキリストにりて、すべての悲痛艱難に勝つべく努めねばならない。
内村鑑三 ヨブ記講演 青空文庫
溺るる者は藁にもるという。
内村鑑三 ヨブ記講演 青空文庫
長兄からの月々の仕送りにって、虫のように黙って暮した。
太宰治 東京八景 青空文庫
いまは、せめてオフィリヤの幸福だけでもと、藁一すじにる気持で、けさほどハムレットさまに御相談申し上げたところ、失礼ながらハムレットさまは未だお若く、黒雲がもくもく湧き立ったとか、乱雲が覆いかぶさったとか、とりとめのない事を口走るばかりで一向に、たよりにも何もなりませぬ。
太宰治 新ハムレット 青空文庫