痩せ細る
やせほそる
動詞
標準
文例 · 用例
そうして、夫子がそれを咎めたまわぬのは、痩せ細るまで苦しんで考え込んだ子路の一本気を愍まれたために過ぎないことを。
— 中島敦 『弟子』 青空文庫
治るまい、おそらく真の狂人に移ってゆくだろう) 暗中に、目を据えて焚火を見つめながら、座間は痩せ細るような思いだった。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
痩せ細る足を手拭でこすりながら、ふと私はそれが死んだ妻のそれに似てくるのに駭かされることもある。
— 原民喜 『吾亦紅』 青空文庫
しかし寒いのは旅の女許りではない、この甲州の寒さでは、水晶さへ鉱区の穴の中で痩せ細ることだらう。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
誰も彼もみな、干乾びて痩せ細るか、脂肪がたまってぶよぶよと肥るかして、溌溂とした体力を持ってる者は一人もいない。
— 豊島与志雄 『悪夢』 青空文庫
重三さんの泊つた時は何ともなくて、番頭さんの泊つた時に限つて、お坊ちやまは怯えなさるんです」「――」二「お坊ちやまの痩せ細るのを見て居ると、お氣の毒でお氣の毒で、とても我慢が出來ません。
— 怪傳白い鼠 『錢形平次捕物控』 青空文庫
当惑し切ったお夏は、毎晩毎晩空閨を守り乍ら、居ても立っても居られない恐ろしい焦躁に痩せ細るばかりでした。
— 第一夜 初夜を盗む 『新奇談クラブ』 青空文庫
さてはやはり世の浮かれ男のようにこの前のことばも嘘であったかもしれぬ、真にうけて痩せ細るほど信じている姫はいよいよご不愍である。
— 吉川英治 『親鸞』 青空文庫