諧謔を弄する
かいぎゃくをろうする
表現動詞-サ変-特殊
標準
to crack jokes
文例 · 用例
一家の男女はトウルゲネフが、軽妙な諧謔を弄する度に、何れも愉快さうな笑ひ声を立てた。
— 芥川龍之介 『山鴫』 青空文庫
「畸形」なる自己宣伝は、いたづらに諧謔を弄することではない。
— ――宛名のない手紙―― 『日本人とは?』 青空文庫
辰野は人も知る座談の雄であるが、私も彼に劣らないくらい話上手で、東京人特有の軽快なる弁舌を以て人を酔わせたり煙に巻いたりすることが得意であったし、警句を発し、諧謔を弄することも敢て人後に落ちはしなかった。
— 谷崎潤一郎 『客ぎらい』 青空文庫
時に諧謔を弄するやうにみえることがあるけれども、それも、才気の迸りに類するものではむろんなく、淡々とした性情の自然の流露が、間髪をいれぬ素朴さで、急所を突いた応酬を生むのである。
— 岸田國士 『計算は計算』 青空文庫
そして又、如何に大胆不敵の兇賊でも、あの様な恐ろしい諧謔を弄する暇がなかったことであろう。
— 江戸川乱歩 『妖虫』 青空文庫
作例 · 標準
講義の最中にさりげなく諧謔を弄する教授のスタイルは、難解な形而上学を学ぶ学生たちの知的好奇心を巧みに刺激した。
予算審議が紛糾する議場において、野党の重鎮が諧謔を弄して痛烈な皮肉を放つと、一瞬の沈黙の後にどっと笑いが起きた。
死を間近にした老詩人は、見舞いに訪れた友人たちに対して最後まで諧謔を弄し、自身の恐怖を悟られないように振る舞った。
夏目漱石の随筆には、病苦や孤独といった重いテーマを扱いながらも、随所に諧謔を弄することで生を肯定しようとする姿勢が垣間見える。