渡し賃
わたしちん
名詞
標準
ferriage
文例 · 用例
湖水の景色の絵葉書に、この綺麗な水で襯衣を洗うとか、島の絵葉書にこの有名な島へ行く渡船に渡し賃が二銭足りなくて宿から借りたとか。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
富士の姿に満月の襟元を思い浮かめ、三保の松原に天女を抱き止めた伯竜の昔を羨み、駿府から岡部、藤枝を背後に、大井川の渡し賃に無けなしの懐中をはたいて、山道づたいの東海道。
— 夢野久作 『名娼満月』 青空文庫
」 と二銭の渡し賃のことをいつた。
— 牧野信一 『城ヶ島の春』 青空文庫
相手が盲人であるから、船頭は渡し賃を取らず渡してやろうと言っても、彼は寂しく笑いながら黙って頭をふるのである。
— 岡本綺堂 『青蛙堂鬼談』 青空文庫
」 と二錢の渡し賃のことをいつた。
— 牧野信一 『城ヶ島の春』 青空文庫
荷物も人もはしけの渡し賃を取られた。
— 林芙美子 『屋久島紀行』 青空文庫
岸べりに、はびこつてゐる、葛の葉を一枚むしりとつて、何げない顔で、狐の前にさし出して、「さてコン助さんとやら、渡し賃に小判一両あげる。
— 土田耕平 『狐の渡』 青空文庫
渡し賃を払つてお舟に乗ると船頭さんは棹をううんと突つぱりお舟が出る。
— 片山廣子 『豚肉 桃 りんご』 青空文庫