不語
ふご
名詞
標準
silence
文例 · 用例
そしてまた実際において、そういう中川べりに遊行したり寝転んだりして魚を釣ったり、魚の来ぬ時は拙な歌の一句半句でも釣り得てから帰って、美しい甘い軽微の疲労から誘われる淡い清らな夢に入ることが、翌朝のすがすがしい眼覚めといきいきした力とになることを、自然|不言不語に悟らされていた。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
宛で子不語が今古奇観にでも有りさうな怪談だ。
— 岡本綺堂 『雨夜の怪談』 青空文庫
』十、君不看双眼色、不語似無愁――いい句だ。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
赤羽|停車場の婆さんの挙動と金貨を頂かせた奥方の所為とは不言不語の内に線を引いてそれがお米の身に結ばれるというような事でもあるだろうと、聞きながら推したに、五百円が失せたというのは思いがけない極であった。
— 泉鏡花 『政談十二社』 青空文庫
その当時の翁の崇拝者は、不言不語の中に皆しかく信じていたものである。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
翁も亦、不言不語の間にこの事を覚悟し満足していたらしい事が、その生涯を通じた志業の裡に認められる。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
すなわち「捨身成仏」が芸道の根本精神でなければならぬ……というのが翁自身のモットーであり、数々の訓戒に含まれている不言不語の点睛であったらしい。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
この道理は小謡の一節、囃子の一クサリ、舞の一と手を習っても、直に不言不語の裡にうなずかれる。
— 夢野久作 『能とは何か』 青空文庫