霑
霑
名詞
標準
文例 · 用例
これを摘み来ってわが心に植え、我に永遠の希望の抜きがたきもの生れて、再会の望を以てわが残生を霑すに至るのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
するとその下の地位にいる同僚達は順繰りに昇進してみんな余沢に霑うというような事があるとすると、それはいくらかはこのドラゴイアンの話に似ている。
— 寺田寅彦 『マルコポロから』 青空文庫
」「いつ、私が、薄情な、」 と口惜しく屹となる処を、酒井の剣幕が烈いので、悄れて声が霑んだのである。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 と吻と息を吐いたと思うと、声が霑む。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 とじりりと膝を寄せて、その時、颯と薄桃色の瞼の霑んだ、冷たい顔が、夜の風に戦ぐばかり、蓐の隈に俤立つのを、縁から明取りの月影に透かした酒井が、「誰か来て蛍籠を外しな、厭な色だ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
そして、ぱっちりした、霑のある、涼しい目を、心持|俯目ながら、大きく※いて、こっちに立った一帆の顔を、向うから熟と見た。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
」 お仲さんの酌んで出した番茶に喉を霑して三人づれで出かけた。
— 平出修 『二黒の巳』 青空文庫
之等の黙止すべからざる温情が亨一の荒んだ心に霑ひを与へた。
— 平出修 『計画』 青空文庫