扛
扛
名詞
標準
文例 · 用例
營養不良にして身體日に衰ふる場合には、昨日は十五貫の物を扛げ得たるに、今日は十四貫しか扛げ得ず、今日十四貫を扛げ得ても、明日は十三貫五百匁しか扛げ得ぬやうになる。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
その騒ぎの間に、一種|生臭いような暖かい蒸気が甲板の人を取り巻いて、フォクスルのほうで、今までやかましく荷物をまき上げていた扛重機の音が突然やむと、かーんとするほど人々の耳はかえって遠くなった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
或日彼は木の株へ唐鍬を強く打込んでぐつとこじ扛げようとした時鍛へのいゝ刃と白橿の柄とは強かつたのでどうもなかつたが、鐵の楔で柄の先を締めた其の唐鍬の四|角な穴の處が俄に緩んだ。
— 長塚節 『土』 青空文庫
空からは暖かい日光が招いて土からは長い手がずん/\とさし扛げては更に長くさし扛げるので其の派手な花が麥や小麥の穗にも沒却されることなく廣い野を占めるのである。
— 長塚節 『土』 青空文庫
然し其蕾はさし扛げられないのみではなく壓へる手の強い力が加へられてある。
— 長塚節 『土』 青空文庫
髮は染めてから暫く經つたと見えて一|帶に肌膚についた僅の部分が髮の凡てをそつくり突き扛げた樣に仄かに白く見えて居た。
— 長塚節 『土』 青空文庫
小松や櫟の林に交つて、之に觸れゝば人の肌膚に血を見せる程の硬い意地の惡い葉を持つた芒までが、さうしなければ目にも立たないのに態々と薄赤い軟かな穗先を高くさし扛げて、他一|倍に騷いだ。
— 長塚節 『土』 青空文庫
土手の篠の高さに見える蜀黍は南風を受けて、さし扛げた手の如き形をなしては先から先へと動いて、其の手が溯る白帆を靜かに上流へ押し進めて居る。
— 長塚節 『土』 青空文庫