諸翼
もろつばさ
名詞
標準
文例 · 用例
目鼻立ちのばらりとした、額のやや広く、鼻の隆いのが、……段の上からと、廊下からと、二ヶ処の電燈のせいか、その怪しい影を、やっぱり諸翼のごとく、両方の壁に映しながら、ふらりと来て、朦朧と映ったが、近づくと、こっちの息だか婦の肌の香だか、芬とにおって酒臭い。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
開いたが、飛びはしない、で、ばさりと諸翼搏つと斉しく、俯向けに頸を伸ばして、あの長い嘴が、水の面へ衝と届くや否や、小船がすら/\と動きはじめて、音もなく漕いで出る。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫