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蝦蟇

がまがえる
名詞
1
標準
文例 · 用例
」 とさも羨しそうに小芳が云うと、お妙はフト打仰向いて、目を大きくして何か考えるようだったが、もう一つの袂から緋天鵝絨の小さな蝦蟇口を可愛らしく引出して、「小母さん、これを上げましょう。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
それで、はあ夜が明けると、黄色く環どって透通ったような水と天との間さ、薄あかりの中をいろいろな、片手で片身の奴だの、首のねえのだの、蝦蟇が呼吸吹くようなのだの、犬の背中へ炎さ絡まっているようなのだの、牛だの、馬だの、異形なものが、影燈籠見るようにふわふわまよって、さっさと駈け抜けてどこかへ行くだね。
泉鏡花 海異記 青空文庫
第一、順と見えて、六十を越えたろう、白髪のお媼さんが下足を預るのに、二人分に、洋杖と蝙蝠傘を添えて、これが無料で、蝦蟇口を捻った一樹の心づけに、手も触れない。
泉鏡花 木の子説法 青空文庫
この黒壁には、夏候一|疋の蚊もなしと誇るまでに、蝦蟇の多き処なるが、乞食僧は巧にこれを漁りて引裂き啖うに、約ね一夕十数疋を以て足れりとせり。
泉鏡花 妖僧記 青空文庫
されば乞食僧は、昼間|何処にか潜伏して、絶えて人に見えず、黄昏蝦蟇の這出づる頃を期して、飄然と出現し、ここの軒下、かしこの塀際、垣根あたりの薄暗闇に隠見しつつ、腹に充たして後はまた何処へか消え去るなり。
泉鏡花 妖僧記 青空文庫
二 ここに醜怪なる蝦蟇法師と正反対して、玲瓏玉を欺く妙齢の美人ありて、黒壁に住居せり。
泉鏡花 妖僧記 青空文庫
蝦蟇法師はためつすがめつ、さも審かしげに鼻を傾けお通が為せる業を視めたるが、おかしげなる声を発し、「それは」と美人の手にしたる鏡を指して尋ねたり。
泉鏡花 妖僧記 青空文庫
蝦蟇法師は飛退りて、さも恐れたる風情にて鼻を飛ばして遁去りける。
泉鏡花 妖僧記 青空文庫