応中
おうちゅう
名詞
標準
文例 · 用例
林の申し立てによると、彼はあの朝、殺人の行われた空家――あなたのお宅の隣にあるあなたの持家ですね――その空家に、貸家札がはってあるのを見て、一応中を見せていただきたいとお宅の裏口に洗濯をしていた女中さんに言ったのだそうです。
— 平林初之輔 『予審調書』 青空文庫
「とはいえ一応中味も見ずに、食らいつくことも出来ないからなあ。
— 国枝史郎 『染吉の朱盆』 青空文庫
だから訊問も捜査も一応中休みとして、明日の午前、裁判医を僕の部屋へ呼んで聴くことにする。
— 海野十三 『地獄の使者』 青空文庫
なる程数式の計算や帰納や推理の仕方は、形式的に云えばイデオロギー的には一応中性を持っている。
— 戸坂潤 『技術の哲学』 青空文庫
書は誰でも初心の頃は、一応中国人の書に惹きつけられるようである。
— 北大路魯山人 『味覚の美と芸術の美』 青空文庫
釈迦に至るまでの古い文化はこれらの時代に一応中断せられたと認めざるを得ない。
— 和辻哲郎 『孔子』 青空文庫
「女一人でも油断はならぬぞ、一応中を見せて貰おうか」 小さい方の浪人は、その背後から警戒の眼を光らせました。
— お局お六 『銭形平次捕物控』 青空文庫
藤兵衛なら前から用意しておけるはずだ」「でも変じゃありませんか」「それに、藤兵衛ほどの者が、神棚から畳紙をおろしたまま一応中を改めずに、上屋敷へ持って行くはずはない」「なるほどね」「藤兵衛が自分でやったとなると事面倒だ。
— 城の絵図面 『銭形平次捕物控』 青空文庫