下石
したいし
名詞
標準
nether millstone
文例 · 用例
馬上を住家とした古人の旅を思いながらも、樹下石上に眠らずに、木口新しく、畳障子の備わった室とはいえない屋根の下に、楽々と足を延ばし、椎の葉に盛った飯でなく、御膳つきで食事の出来る贅沢を、山中の気分にそぐわぬと思いながらも、その便利を享楽した。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
仏教では樹下石上といい一所不住ともいう。
— 種田山頭火 『寝床〔扉の言葉〕』 青空文庫
一体本来を云えば樹下石上にあるべき僧侶が、御尊崇下さる故とは云え、世俗の者共|月卿雲客の任官謝恩の如くに、喜びくつがえりて、綺羅をかざりて宮廷に拝趨するなどということのあるべきでは無いから、増賀には俗僧どもの所為が尽く気に入らなかったのであろう。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
重荷に小附の折革鞄、慾張って挟んだ書物の、背のクロオスの文字が、伯林の、星の光はかくぞとて、きらきら異彩を放つのを、瓢箪式に膝に引着け、あの右角の、三等待合の入口を、叱られぬだけに塞いで、樹下石上の身の構え、電燈の花見る面色、九分九厘に飲酒たり矣。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
樹下石上というと豪勢だが、こうした処は、地蔵盆に筵を敷いて鉦をカンカンと敲く、はっち坊主そのままだね。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
殊に当日はあすこを心掛けて参ったので、煙草は喫まず、その癖、樹下石上は思いも寄らん大俗で、ただ見物も退屈、とあらかじめ、紙に捻って月の最中というのを心得ていましたから、(ちとお歌でもなさりませんか、)といいますとね。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
道順も先度とは少し違って、上高井戸から烏山、金子、下布田、上布田、下石原、上石原、車返し、染屋と甲州街道を真っ直ぐにたどって、府中の宿に行き着いたのは、七ツ半(午後五時)を過ぎる頃であった。
— 二人女房 『半七捕物帳』 青空文庫
老木殷勤有誘我 老木殷勤に我を誘ふあり、枉爲樹下石牀人 枉げて樹下石牀の人となる。
— 河上肇 『閉戸閑詠』 青空文庫