撻
撻
名詞
標準
文例 · 用例
学生時代には不断の試験地獄に苦しめられ、慢性的の神経衰弱にかかっていたし、親父には絶えず怒られて叱責され、親戚の年上者からは監督され、教師には鞭撻され、精神的にも行動的にも、自由というものが全く許されてなかった。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
なぜなら民衆は、彼等を甘やかすことによって益々堕落し、鞭撻することによって向上してくるからだ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
またその試験というのが人工的に無闇に程度を高く捻じり上げたもので、それに手の届くように鞭撻された受験者はやっと数時間だけは持ちこたえていても、後ではすっかり忘れて再び取りかえす事はない。
— 寺田寅彦 『アインシュタインの教育観』 青空文庫
思へば私どもの交つてからもう五六年になるが、兄は私にとつていつもよい刺戟と鞭撻を与へてくれた。
— 萩原朔太郎 『月に吠える』 青空文庫
と同時に不思議や亀縮んでいた異性に対する本能の触手が制約の撻を放れてすくと差し延べられるのを感じた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
願くは何か峻烈なる刺激を与え、鞭撻激励して彼等を努力せしめたならば、日本の生産力もまた必ず多大の増加を見る事は疑いを容れまい。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
それが火の出るやうな性急で鞭撻されるので、大抵の生徒は悲鳴をあげた。
— 寺田寅彦 『蓑田先生』 青空文庫
しかしただ書棚の中に並んでいる書物の名をガラス戸越しにながめるだけでも自分には決して無意味ではなかった、ただそれだけで一種の興奮を感じ刺激と鞭撻を感ずるのであった。
— 寺田寅彦 『丸善と三越』 青空文庫