一夏
いちげ
名詞
標準
one summer (during which a monk attends a summer retreat)
文例 · 用例
しばらく經つて、とんと輕く足踏みして、おもむろに呻き出すは、「是は阿波の鳴門に一夏を送る僧にて候。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
十年ほど前、(私も、としをとつたものだ)沼津の海濱の宿で一夏を送つた事があつたけれども、あの時、あの濱に、甲羅の直徑五尺ちかい海龜があがつたといつて、漁師たちが騷いで、私もたしかにこの眼で見た。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
一夏に一度か二度かは母に連れられて、この南磧の涼みに出かけた。
— 寺田寅彦 『涼味数題』 青空文庫
一夏を、東海道三島の宿で過したことがあります。
— 太宰治 『老ハイデルベルヒ』 青空文庫
そのまま一夏を、私は三島の佐吉さんの家で暮しました。
— 太宰治 『老ハイデルベルヒ』 青空文庫
長い年月が過ぎて行った一夏、日比野皆三博士が、学生たちを指導している間、葉山の別荘に夫人の涌子は子供たちと避暑に来ていて、土曜日毎に油壺から帰って来る良人を待受けていた。
— 岡本かの子 『蝙蝠』 青空文庫
其後諸大名が解役されると同時に、山城屋も商途を止め、土蔵や邸の外廓をせばめ鉅万の富を緊密に包掌して、質実な家格の威容を近郷に示して居る内、一夏の悪疫に家内は大方死に尽して、かやの父である幸吉ばかりが、三歳ばかりの幼児のままで取のこされた。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
……一夏、日の暮方から凄じい雷雨があつた……電光絶間なく、雨は車軸を流して、荒金の地の車は、轟きながら奈落の底に沈むと思ふ。
— 泉鏡太郎 『霰ふる』 青空文庫
作例 · 標準
今年の夏も、多くの若手僧侶が一夏を勤めるべく、山寺に集まった。
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彼はこの一夏で、禅の深淵に触れる貴重な体験を得た。
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長老は、一夏を無事終えた新米僧侶たちに労いの言葉をかけた。
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「一夏は、ただ夏を過ごすのではなく、内面と向き合うための大切な時間なのです。」
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