羽搏つ
はうつ
動詞
標準
文例 · 用例
といううちに、ふと風が静まると、広小路あたりの物音が渡って来て、颯と浮世に返ると、枯蓮の残ンの葉、折れた茎の、且つ浮き且つ沈むのが、幾千羽の白鷺のあるいは彳み、あるいは眠り、あるいは羽搏つ風情があった。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
そこにはカンヴアスの上の絵画を越えた野心が、はげしい気魄となつて画面に羽搏つてゐた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
) か何かで、時々|歩行きながら、扇子……らしい、風を切ってひらりとするのが、怪しい鳥の羽搏つ塩梅。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
岩礁月面に墨|噴きて、飛び羽搏つもの。
— 北原白秋 『海豹と雲』 青空文庫
遠い礼拝堂で十五分毎に打つ鐘が、銀の鈴のやうに夜の空気をゆすつて、籠を飛んで出た小鳥の群のやうに、トビアスの耳のまはりに羽搏つ。
— SANKT NIKOLAUS BEI DEN SCHIFFERN 『聖ニコラウスの夜』 青空文庫
塔の上にはしなやかに羽搏つ、広き翼ある女神いまして、5450いづ方へも向きて、幸を授け給へり。
— FAUST. EINE TRAGODIE 『ファウスト』 青空文庫
床の花|已に古びや松の内一月二十七日 「玉藻十句集(第十二回)」畦一つ飛び越え羽搏つ寒鴉凍鶴の首を伸して丈高き一月二十七日 丸之内倶楽部俳句会。
— 高浜虚子 『五百五十句』 青空文庫
束の間|虚空にめぐりて疾風羽搏つ嗚呼その隙にしも人滅ぶといふ、――傷みそ、彈くに妙音の浪白銀傳ふる君が命は窮りなし。
— 蒲原有明 『獨絃哀歌』 青空文庫