恨み顔
うらみがお
名詞
標準
文例 · 用例
わずかだけさした日光に恨み顔な草の露がきらきらと光っていた。
— 野分 『源氏物語』 青空文庫
春院いたずらに更けて、花影欄にたけなわなるを、遅日早く尽きんとする風情と見て、琴を抱いて恨み顔なるは、嫁ぎ後れたる世の常の女の習なるに、麈尾に払う折々の空音に、琵琶らしき響を琴柱に聴いて、本来ならぬ音色を興あり気に楽しむはいよいよ不思議である。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
親も逝き子も逝きて、新しき代にただ一人取り残されて、命長きわれを恨み顔なる年寄の如く見ゆるが、岡の上なるシャロットの女の住居である。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
」と、おもよは少しく恨み顔に言った。
— 岡本綺堂 『馬妖記』 青空文庫
もういい加減に泣くのを止めて、十さんと仲好くおしなんし」 まだ腑に落ちないような恨み顔をしているお米にむかって、綾衣はしみじみと言って聞かせた。
— 岡本綺堂 『箕輪心中』 青空文庫
なほ俳諧時代に入りても元禄より以前にふぐ干や枯なん葱の恨み顔 子英といふあり。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
さあ、こまちゃくれたピグミー、昔を恨み顔な女――出て来るなら今のうちだよ。
— 鈴慕の巻 『大菩薩峠』 青空文庫