渋好み
しぶごのみ
名詞
標準
文例 · 用例
柄が二十二の規矩男にしては渋好みで、それを襯衣も着ずにきちんと襟元を引締めて着ている恰好は、西洋の美青年が日本着物を着ているように粋で、上品で、素朴に見えた。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
渋好みの和服姿で、赤ら顔の、どっしりした感じの旦那を人々はまぶしそうに見あげるのであった。
— 島木健作 『鰊漁場』 青空文庫
ぬからずに洗っておいでよ」 命じておくと、ひと足先に伝六を駕籠で送り出しておきながら、右門は結城袷の渋好みづくりに、細身の蝋色鞘をおとし差しにして、ゆうぜんと本石町へやって参りました。
— 足のある幽霊 『右門捕物帖』 青空文庫
帯は黒地に金銀の唐草模様で、きまっていないのは襟だけですが、父のように黒とか黄とかいうような凝った渋好みのものは僕みたいに未熟な者には迚も使えませんから、もっとほかの古代紫か水色か何かにしようと思っています。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
渋好みなど言ふことにも、一向気のひかれぬ私である。
— 折口信夫 『戞々たり 車上の優人』 青空文庫
江戸ッ子は保守的で渋好みであるが、そういう土地で幅をきかせそうな京家が、進歩的で、新しいもの、豪壮なものの好きな大阪で格式をもっているのは意外であった。
— 道頓堀罷り通る 『安吾の新日本地理』 青空文庫
「キミイー、ほんとかい、この姿は、まるでトラピスト修道院の修学旅行みたいじゃないか、それに洋服の好みも黒やグレーでまるで渋好みじゃないか、一体これは、びっくりするなアー」 と、まるで約束がちがうように嘆いた。
— 小野佐世男 『ストリップ修学旅行』 青空文庫
小柄の三十前後、大店の若主人らしい、渋好みの身扮から、浅黒い引締った顔など、いかにも世馴れ、遊び馴れた心持の男前です。
— 雪の足跡 『銭形平次捕物控』 青空文庫