聴官
ちょうかん
名詞
標準
文例 · 用例
同様な事は聴官についてもある。
— 寺田寅彦 『物理学と感覚』 青空文庫
たとえば音響というような現象でも昔は全く人間の聴官に訴える感覚的の音を考えていたのが、だんだんに物体の振動ならびにそのために起こる気波という客観的なものを考えるようになり「聞こえぬ音」というような珍奇な言葉が生じて来た。
— 寺田寅彦 『物理学と感覚』 青空文庫
この伴奏は、幸にして無頓著な聴官を有している私の耳をさえ、緩急を誤ったリズムと猛烈な雑音とで責めさいなむのである。
— 森鴎外 『余興』 青空文庫
……眉が保寿官、眼が監察官、鼻梁が審弁官、口が出納官、そうして耳が採聴官。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
それ故、僕は、演劇の本質を定義する文句の中に「聴官と視官に愬へるイメエジ」といふ言葉を常に用ひてゐる。
— 岸田國士 『演劇本質論の整理』 青空文庫
演説は聴官によつて幻覚されるものだからである。
— 岸田國士 『演劇論の一方向』 青空文庫
かつ、その声の一種奇怪にして、いまだかつて聞きなれざるものなる上は、ただ聴官によりてこれを感ずるのみにて、視官の補助を受くることあたわざるものとす。
— 井上円了 『甲州郡内妖怪事件取り調べ報告』 青空文庫
しからば、さきに申せし音響の小さきを聴官に大きく聞こゆる音響も、やはり水のごとく、はじめは勢力小さきも、これを重ぬるときは、大きくなりて聞こゆるなるべしと思わる。
— 井上円了 『妖怪報告』 青空文庫