焙り出し
あぶりだし
名詞
標準
文例 · 用例
梅雨期には、滅茶苦茶に照って、体中の水気を焙り出してしまうほど暑く、土用に入ってから、ジトジト降ったり、涼し過ぎたり、麹室の中みたいに暗くて蒸し暑く息苦しかったりした。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
ただ最近多少|昂奮し易くなったことは事実で、そういう時、数年間まるで忘却していた姿の或る情景などが、焙り出しの絵の様に、突然ありありと、其の色や匂や影まで鮮やかに頭の中に蘇って来ることがある。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
もう返してよござんすか」と云いながら焙り出した。
— 宮本百合子 『一太と母』 青空文庫
同時に、東儀与力の脳裡には、つい先程、「時雨の笛」の中から出た手紙の署名――あの郁次郎という文字を、焙り出しのように思いうかべた。
— 吉川英治 『牢獄の花嫁』 青空文庫