錦襴
きんらん
名詞
標準
文例 · 用例
侍女二 錦襴の服を着けて、青い頭巾を被りました、立派な玉商人の売りますものも、擬が多いそうにございます。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
女たちの可哀らしい動作は、錦襴のなかに生ずる一つの皺だつた。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『旗手クリストフ・リルケ抄』 青空文庫
天人の舞楽、合天井の紫のなかば、古錦襴の天蓋の影に、黒塗に千羽鶴の蒔絵をした壇を据えて、紅白、一つおきに布を積んで、媚かしく堆い。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
前で結んで兩方へ張つた錦襴の大きな帶と、刺繍の裲襠とが目を射る。
— 長塚節 『菜の花』 青空文庫
帶も裲襠も眩きばかりの錦襴である。
— 長塚節 『菜の花』 青空文庫
軸は底光りのある古錦襴に、装幀の工夫を籠めた物徂徠の大幅である。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
あの錦襴も織りたては、あれほどのゆかしさも無かったろうに、彩色が褪せて、金糸が沈んで、華麗なところが滅り込んで、渋いところがせり出して、あんないい調子になったのだと思う。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
かの貧人たちまち身のほどを顧み、恥じかつ恐れ入って人の見えぬような所に坐しいると、たちまち見る一人素絹と錦襴を被せ金の頸環、銀の鎖を付けた四疋の犬を牽き来り別室に維ぎ、去って金の皿四つに好肉を盛ったのを持ち来り、毎犬一皿を供えて出で行った。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫