蟹肉
かににく
名詞
標準
文例 · 用例
ある公衆食堂で昼飯を食ったときに「君、デヴィルド・クラブを食ってみないか」というから、何だと聞くと、蟹肉に辛い香料をいれてホットにしてあるから、それで「デヴィルド」だといって聞かされた。
— 寺田寅彦 『夏』 青空文庫
節奏のない、即ち何等の音樂的抑揚なき普通の低調な實感を、いかに肉感的に再現した所でそれは詩ではない。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
それはたしかに肉體的なものからも來てゐた。
— 島木健作 『第一義の道』 青空文庫
もつと遙かに肉體的な(全身的な)疑惑なのだ。
— 中島敦 『かめれおん日記』 青空文庫
それゆえ、五年前の救護所における彼女と、今しも沼の面を、無心に眺めつづけている滝人との差を求めたとすれば、わずかに肉体の衰えをそうと云えるのみであろう。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
お前たちは、ほかに肉親の者が居ないからホントウの兄妹みたようなもんだ。
— 夢野久作 『鉄鎚』 青空文庫
今日の英国にては、前にも述べしごとく、毎日規則正しく働いていながらわずかに肉体の健康を維持するだけの衣食さえ得あたわぬ者がすこぶる多いと同時に、他方には全く遊んでいながら驚くべきぜいたくをしている者も決して少なくはない。
— 河上肇 『貧乏物語』 青空文庫
その矢はまさに誤たず大鵬の横腹に当ったが、こはそもいかに肉には通らず、戞然たる音を響かせて、二つに折れた矢は地に落ちて来た。
— 国枝史郎 『大鵬のゆくえ』 青空文庫