金壺
かなつぼ
名詞
標準
文例 · 用例
白粉のその頸を、ぬいと出額の下の、小慧しげに、世智辛く光る金壺眼で、じろりと見越して、「今晩は。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
」と金壺眼はいよいよ光った。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
つき出した厚い胸のなかにめりこんだやうな醜い猪首だつたが、眼は――その金壺眼の眼球は、なるほど口さがないわらべどもが後指さしていふとほり(原文五字缺)見えるのである――。
— 島木健作 『黎明』 青空文庫
会議の時に金壺眼をぐりつかせて、おれを睨めた時は憎い奴だと思つたが、あとで考へると、それも赤シヤツのねち/\した猫撫声よりはましだ。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
会議の時に金壺眼をぐりつかせて、おれを睨めた時は憎い奴だと思ったが、あとで考えると、それも赤シャツのねちねちした猫撫声よりはましだ。
— 夏目漱石 『坊っちゃん』 青空文庫
何時来たのか」 かく言ひつつ彼は艶々と赭みたる鉢割の広き額の陰に小く点せる金壺眼を心快げに※きて、妻が例の如く外套を脱するままに立てり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
満枝は心に少く慌てたれど、さしも顕さで、雍かに小腰を屈めて、「おや、お出あそばしまし」「ほほ、これは、毎度お見舞下さつて」 同く慇懃に会釈はすれど、疑も無く反対の意を示せる金壺眼は光を逞う女の横顔を瞥見せり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
直行は又その辛し、恨し、悲しとやうの情に堪へざらんとする満枝が顔をば、窃に金壺眼の一角を溶しつつ眺入るにぞありける。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫