空望
くうぼう
名詞
標準
文例 · 用例
彼は「時」に欺かれ尽くして古時を思ひ、これは「時」に弄せらるゝを知らずして空望を懸く。
— 北村透谷 『徳川氏時代の平民的理想』 青空文庫
余及今猶迷取捨)六月四日天涯孤客、不歸郷已十年山村一去路千里 山村一去路千里、雲間空望阿母家 雲間空しく望む阿母の家。
— 河上肇 『閉戸閑詠』 青空文庫
けれどそれも遂に徒らな空望であることを感じて私は益々倦怠と憂欝とに囚えられてしまった。
— 豊島与志雄 『微笑』 青空文庫
これは文化的主體が一時我を忘れて夢幻の世界に遊んだ如きものであつて、主體そのものが儼然として存立せねばならず、しかして時間性可滅性がそれの本質をなす以上、純粹の空望に過ぎぬことは、すでに述べた通りである。
— 波多野精一 『時と永遠』 青空文庫
彼はユーディット・マンハイムに出会って以来、ユダヤ婦人にあまり空望をかけはしなかったが、それでも、いつも彼女らにひきつけられた。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
カルヴァン派、ジャンセニスト、ジャコバン党員、産業革命家、その他各方面において、空望も落胆もなしに自然と戦ってる、悲観的理想主義の同じ精神が――往々国民を粉砕しながらも、なお国民を支持する鉄骨が――現われていた。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
そして自分の命に空望みをかけてはいなかった。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
……東京行の空望みは、彼女等の心をさして動かさなくなつた。
— 正宗白鳥 『玉の輿』 青空文庫