寥
寥
名詞
標準
文例 · 用例
糟谷が自分の周囲の寂寥に心づいたときはもはやおそかった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
の初聯で始まる「寂寥」の如き詩は、その情感の深く悲痛なることに於て、他に全く類を見ないニイチェ独特の名篇である。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
どこにこんな荒寥の地方があるのだらう年をとつた乞食の群はいくたりとなく隊列のあとをすぎさつてゆき禿鷹の屍肉にむらがるやうにきたない小蟲が燒地の穢土にむらがつてゐる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
われここを渡りて荒寥たる情緒の過ぐるを知れり往くものは荷物を積み車に馬を曳きたりあわただしき自轉車かなわれこの長き橋を渡るときに薄暮の飢ゑたる感情は苦しくせり。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
畠の中に建ちて、そのシグナルも風に吹かれ、荒寥たる田舍の小驛なり。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
荒寥地方散歩者のうろうろと歩いてゐる十八世紀頃の物さびしい裏街の通りがあるではないか青や赤や黄色の旗がびらびらしてむかしの出窓に鐵葉の帽子が飾つてある。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
どうすれば好いのか知らないかうして人間どもの生活する 荒寥の地方ばかりを歩いてゐよう。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
――荒寥地方――くづれる肉體蝙蝠のむらがつてゐる野原の中でわたしはくづれてゆく肉體の柱をながめた。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫