帰道
帰道
名詞
標準
文例 · 用例
帰道に安中が決答を促したが、僕は何とも云うことが出来ない。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
役人に暇乞をして帰道に掛かつてから、ドユパンは或る新聞の発送所に立ち寄つた。
— THE MURDERS IN THE RUE MORGUE 『病院横町の殺人犯』 青空文庫
病院はその後箱崎川にかかっている土洲橋のほとりに引移ったが、中洲を去ること遠くはないので、わたくしは今もって折々診察を受けに行った帰道には、いつものように清洲橋をわたって深川の町々を歩み、或時は日の暮れかかるのに驚き、いそいで電車に乗ることもある。
— 永井荷風 『深川の散歩』 青空文庫
小雨が降つたり歇んだりしてゐたに係らず、勤先からの帰道、桑田は映画館で時間をつぶした後、その辺のおでん屋で平素飲まない酒を飲み、真暗な横町を足もとしどろに帰つて来た。
— 永井壮吉 『人妻』 青空文庫
お千代はこんな家へはあまり立寄らない方がいいと帰道には思返しながら、翌る日になると女給の口を捜し歩くのがいやなのと行きどころがないのとでまた立寄って時間をつぶす。
— 永井荷風 『ひかげの花』 青空文庫
昨日|芳沢旅館の帰道だわ。
— 永井荷風 『ひかげの花』 青空文庫
千代子はその帰道が同じなので、田中と云う三枚目の役者を恋人にしている仲間の蝶子といつも連立って、地下鉄から浅草で東武線に乗りかえ、牛田という停車場から更に京成電車に乗りかえて高砂の駅で降りる。
— 永井荷風 『心づくし』 青空文庫
帰道にでも二人つれ立って歩きでもしたらと思うのであるが、あいにく山室は大詰の幕にはほんの一寸舞台へ出るばかり。
— 永井荷風 『心づくし』 青空文庫