顔附
かおふ
名詞
標準
文例 · 用例
ボーイが炭酸水とウイスキーを籐の卓子に置いて去ると、恋は異なものね、と云うような顔附をして炭酸水にウイスキーを入れたコップを涼しげにのむのであった。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
何処かへ移して貰えないでしょうか」 政枝は情なくて堪らぬという感じを顰めた顔附きで現わした。
— 岡本かの子 『勝ずば』 青空文庫
「おや、」といったきり、婆さんはかねてその蝶吉というのを知ってるほど、おっこちたと謂わるる男、すなわちこれなる源次郎のせめてそれだけでも止して頂きたい、目金を乗せた鼻の形と、件の下駄と交る交る見競べて解せない顔附。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
」 主婦は一切呑み込んだ顔附であった。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
十人ばかりの子供達のなかには、まだこの間、佐渡ヶ島から越して来たばかりの、色の黒いぬけめのない顔附の子がゐた。
— 新美南吉 『良寛物語 手毬と鉢の子』 青空文庫
ロダンは晴やかな顔附をして、この許多の半成の作品を見渡した。
— 森鴎外 『花子』 青空文庫
独帝は急ぎの用事でもあるらしい顔附で、そのなかに紛れ込んで往つたが、擦れ違ひざま牛のやうな呆けた顔の男を見ると、いきなり拳をあげてぽかりと帽子を叩きつけた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
どんな悪魔にも恐れさうにない大胆な顔附をしてゐるが、意地が悪さうには見えない。
— THE MURDERS IN THE RUE MORGUE 『病院横町の殺人犯』 青空文庫