戌の刻
いぬのこく
表現名詞
標準
hour of the Dog (around 8pm, 7-9pm, or 8-10pm)
文例 · 用例
二人はただ身軽に扮装つだけのことにして、戌の刻を過ぎる頃から城下の村へ忍んで行くと、お誂えむきの暗い夜で、今にも雨を運んで来そうな生温い南風が彼らの頬をなでて通った。
— 岡本綺堂 『馬妖記』 青空文庫
ひとつ所を行きつ戻りつして暫くは捕手の眼を逃れていたが、その夜の戌の刻(午後八時)頃にとうとう縄にかかった。
— 岡本綺堂 『心中浪華の春雨』 青空文庫
秋の宵はまだ戌の刻(午後八時)をすぎて間もないのに、山科の村は明かるい月の下に眠っていた。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
都の寺でらの鐘が戌の刻(午後八時)を告げるのを待ち侘びて、千枝太郎は土御門の屋敷を忍んで出ると、八月九日の月は霜を置いたように彼の袖を白く照らした。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
伝吉の倉井村へはいったのは戌の刻を少し過ぎた頃だった。
— 芥川龍之介 『伝吉の敵打ち』 青空文庫
六月二十日夜戌の刻堂内の明を消して、生贄にする僧(貞云、名所図絵に俗とあるは古い式で、後には僧を以て之に代へたものか)を座せしめ、衆僧も暗中に居て、代る/\陀羅尼や神呪を大声に唱へて、彼の僧を一時祈り殺す。
— その一例として飛騨の牛蒡種 『憑き物系統に関する民族的研究』 青空文庫
そうそう、松王様はその夕刻、おっつけ戌の刻ほどにひょっくりお見えになり、わたくしがお怨みを申すと、「なに、ついそこの武者の小路で見張っておったよ」と、事もなげに仰せられました。
— 神西清 『雪の宿り』 青空文庫
さうさう、松王様はその夕刻、おつつけ戌の刻ほどにひよつくりお見えになり、わたくしがお怨みを申すと、「なに、ついそこの武者の小路で見張つてをつたよ」と、事もなげに仰せられました。
— 神西清 『雪の宿り』 青空文庫
作例 · 標準
戌の刻を過ぎる頃には、この辺りの商店街はすっかり静まり返る。
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江戸時代の怪談では、戌の刻になると化け物が現れるという話が多い。
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「まだ戌の刻にもなっていないのに、もう寝るのかい?」
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