差し向き
さしむき
副詞
標準
文例 · 用例
夫婦の話はそれから、坂井の生活に餘裕のある事と、其餘裕のために、横町の道具屋などに意外な儲け方をされる代りに、時とすると斯う云ふ織屋などから、差し向き不用のものを廉價に買つて置く便宜を有してゐる事などに移つて、仕舞に其家庭の如何にも陽氣で、賑やかな模樣に落ちて行つた。
— 夏目漱石 『門』 青空文庫
夫婦の話はそれから、坂井の生活に余裕のある事と、その余裕のために、横町の道具屋などに意外な儲け方をされる代りに、時とするとこう云う織屋などから、差し向き不用のものを廉価に買っておく便宜を有している事などに移って、しまいにその家庭のいかにも陽気で、賑やかな模様に落ちて行った。
— 夏目漱石 『門』 青空文庫
人望栄名なぞの話はしばらく擱き、今日世間に知己朋友の多きは、差し向きの便利にあらずや。
— 福沢諭吉 『学問のすすめ』 青空文庫
「それだのに、今まではろくろくお礼も申し上げないでいましたけど、それは……どうぞあしからず……」「ええっ、もうたくさんですよ、たくさんですよ」「で、この金は、アルカージイ・イヴァーヌイチ、まことに有難うはございますけど、わたし、今のところ差し向き入用ございませんの。
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫
そして此処に示さなかつたものにも、まだ多くあるが、差し向き此処に示すことを罷める。
— 斎藤茂吉 『『さびし』の伝統』 青空文庫
「何処へつれて行くのだ」 平次にも旅籠賃の工面などがつく筈もなく、差し向き気のきいた叔母さんの心当りもありません。
— 群盗 『銭形平次捕物控』 青空文庫
「何處へつれて行くのだ」 平次にも旅籠賃の工面などがつく筈もなく、差し向き氣のきいた叔母さんの心當りもありません。
— 群盗 『錢形平次捕物控』 青空文庫
お話の順序は、用意の都合もあることでしょうから、なるべく御申出順に従うことにし、差し向き今晩は、江柄三平君が驚天動地の奇談を御用意下すったそうですから、第一話として、それをお願いすることにいたしました。
— 第一夜 初夜を盗む 『新奇談クラブ』 青空文庫