枳
枳
名詞
標準
文例 · 用例
例えば「雪」のキには「伎」「企」「枳」などのどれを使ってもよく、「月」のキには「紀」「奇」などどれを使ってもよい。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
しかし「月」のキには「伎」「企」「枳」などは用いず、「雪」のキには「紀」「奇」などは用いないというように、きっぱり二つの類に分れている。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
仮名が二つに分れると同時にこれを用いる語も二つに分れて、「伎」「企」「枳」などを用いて「紀」「奇」などを用いない語「雪」「君」「昨日」「明」などと、「紀」「奇」などを用いて「伎」「企」「枳」などを用いない語「月」「霧」「槻」などとの二つに分れるのであります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
富士見の台なる、茶枳尼天の広前で、いまお町が立った背後に、 此の一廓、富士見稲荷鎮守の地につき、家々の畜犬堅く無用たるべきもの也。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
台所に杯盤の音、戸口に見送りの人声、はや出立たんと吸物の前にすわれば床の間の三宝に枳殻飾りし親の情先ず有難く、この枳殻誤って足にかけたれば取りかえてよと云う人の情もうれし。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
聞いて下さいやしこうじゃわいな、お前さん、過日切通の枳殻寺で施米があると云うから、この足で、鮫ヶ橋から湯島|下りまで、お前様、小半日|懸って行ったと思わっしゃれ、そうすると切符を渡して、なお前様、明日来い、米と引替えるというではござらぬか。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
大日経巻第二に荼枳尼は見えており、儀軌真言なども伝来の古いものである。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫
もし密教の大道理からいえば、荼枳尼も大日、他の諸天も大日、玄奥秘密の意義理趣を談ずる上からは、甲乙の分け隔てはなくなる故にとかくを言うのも愚なことであるが、先ず荼枳尼として置こう。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫