突拍子
とっぴょうし
名詞
標準
文例 · 用例
かうしたイメーヂの聯絡は、極めて飛躍的であり、突拍子もない荒唐のものに思はれるだらうが、作者の主觀的の心理の中では、その二つの言葉をシノニムに結ぶところの、歴とした表象範則ができてるのである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
一つ事のつづまりがつかないのに、もう次の考えが頭を出し、次々、次々に無数の考えが、山に関してだの、生活に関してだの、突拍子もない聯想だの、星雲みたいな状態であった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
そんな風だから、突拍子もない小溝、幅一尺あるかなしの小溝に釣針を流しながら、無心に歩いて行ったりする。
— 葉山嘉樹 『信濃の山女魚の魅力』 青空文庫
僕だって鱶になりたい、と思ったことがあるもんなあ」と、波田は初めて、その突拍子もない口をきった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
」ふと顔をあげてそんな突拍子ない質問を発する私のかおは、たしかに罪人、被告、卑屈な笑いをさえ浮べていたと記憶する。
— 太宰治 『黄金風景』 青空文庫
」 と突拍子な高調子で、譫言のように言ったが、「ようこそなあ――こんなものに……面も、からだも、山猿に火熨斗を掛けた女だと言われたが、髪の毛ばかり皆が賞めた。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
余り突拍子がないようですから――実はまだ、誰にも饒舌りません。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
私はやけくそで、突拍子ない時に大拍手をしてみたり、ろくに聞いてもいない癖に、然りとか何とか、矢鱈に合槌打ってみたり、きっと皆は、あの隅のほうにいる酔っぱらいは薄汚いやつだ、と内心不快、嫌悪の情を覚え、顰蹙なされていたに違いない。
— 太宰治 『善蔵を思う』 青空文庫