忍び込み
しのびこみ
名詞
標準
文例 · 用例
或る日、或る時、聖霊が胸に忍び込み、涙が頬を洗い流れて、そうしてひとりでずいぶん泣いて、そのうちに、すっとからだが軽くなり、頭脳が涼しく透明になった感じで、その時から僕は、ちがう男になったのだ。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
」「あの、若旦那は、深夜台所へ忍び込み、あの、ひやざけ、……」と言いも終らず番頭、がっぱと泣き伏し、お内儀、「げえっ!
— 太宰治 『酒の追憶』 青空文庫
涙はひえっとした先生の仰っしゃるばら/\になった氷のような骨の潤いになるのかも知れないから―― 二重に縺れる水音を聞きながら、眠るともなく覚るともなく夜中の時刻を過すうち、また、ふと気がついてみると、部屋の中へ霧が忍び込み、ランプは夏蜜柑の切口を見るような円光を放っています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
通常の操作では触れることのできないデータのところまで忍び込み、ときにはシステムを使用不能の状態に陥らせた。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
男が忍び込み、中央の机から紙を一枚ずつ手に取った。
— THE ADVENTURE OF THE THREE STUDENTS 『三枚の学生』 青空文庫
そやつはそこから忍び込み、寝室を通り抜けたから跡が残ったのであって、最後に開け放しの扉から出たとも……」 我慢できずにホームズが首を振る。
— THE ADVENTURE OF THE THREE STUDENTS 『三枚の学生』 青空文庫
不意に、するすると忍び込みでもするかのように表玄関の格子戸があいたんで――。
— なぞの八卦見 『右門捕物帖』 青空文庫
暇さえあれば、留守を狙ってヘミングウェー嬢の部屋へ忍び込み、部屋に残っている薫香に鼻をうごめかしたものです。
— 小栗虫太郎 『一週一夜物語』 青空文庫