後退り
あとずさり
名詞
標準
文例 · 用例
」 これで突放されたようになって、思わず後退りすること三尺半。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
「少々お待ちを……」 と車掌も大事件の肩を掴まえているから、息|急いて、四五人押込もうとする待合わせの乗組を制しながら、後退りに身を反らせて、曲者を釣身に出ると、両手を突張って礼之進も続いて、どたり。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
(奧さんや、奧さんや――蚤が、蚤が――) と腹をだぶ/\、身悶えをしつゝ、後退りに成つた。
— 泉鏡太郎 『人魚の祠』 青空文庫
」 屋の棟を仰いだり、後退りをまたしてみたり。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
おゝ、自然と敵の意を体して、自から、罵倒するやうな木像では、前方が約束を遂げんのも無理はない……駄物、駄物、駄物、」と三舎を避ける足取で、たぢ/\と後退りして、「さあ、恁うなれば、お浦の紀念の方が大事だ。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
」と青年は、然知つた見得に、後退りしながら身構へして、「嬲るな。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
婆さんに聞けば、夫婦づれの衆は、内で采粒を買はつしやると、両方で顔を見合ひながら後退りをして、向ふ崖の暗い方へ入つたまで。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
」いまや楢ノ木大学士はそろりそろりと後退りして来た方へ遁げて戻る。
— 宮沢賢治 『楢ノ木大学士の野宿』 青空文庫