行き届き
ゆきとどき
名詞
標準
文例 · 用例
なにしろ倹約の御趣意がよく行き届きますからね」と、半介はすこし顔をしかめた。
— 大阪屋花鳥 『半七捕物帳』 青空文庫
おめえ達の不行き届きで、なんと云われても仕方がねえ」と、半七はその話を聴いて眉をよせた。
— お照の父 『半七捕物帳』 青空文庫
昔の小学校の先生などとちがってあまりに立派な教育者としての素養があり過ぎるために、またその上に文部省の監督があまりに行き届き過ぎるために教場における授業が窮屈で煩瑣な鋳型にはいってしまって、その結果は自由に広大であるべきものを極端に制限してしまっているのではないかという疑いがある。
— 寺田寅彦 『さるかに合戦と桃太郎』 青空文庫
御宿泊の設けも行き届きませんでも当坊でさせていただきたいものでございます」 と言うのが使いの伝える僧都の挨拶だった。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
」「ええ、何分|昨日行啓の今晩ですから、居残りでかなり混雑していますし、宿でも町の方でもすっかり疲れ切っているので、どうにも行き届きませんでね。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
「自分の部下にかような罪人をいだしましたのは、わたくしが重々の不行き届きでございますが、一体かれはどういうことで御機嫌を損じたのでございましょうか」と、太守はさぐるように訊いてみた。
— 宣室志(唐) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
「まったくわたしが行き届きませんでした。
— 勘平の死 『半七捕物帳』 青空文庫
母は「このたびはまたいろいろ」と云ったような打って変った几帳面な言葉で岡田に礼を述べる、岡田はまたしかつめらしく改まった口上で、まことに行き届きませんでなどと挨拶をする、自分には両方共|大袈裟に見えた。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫