挿込
さしこみ
名詞
標準
文例 · 用例
なんでも赤※びた鉄火鉢に炭火を入れてあって、それで煙管の脂を掃除する針金を焼いたり、また新しい羅宇竹を挿込む前にその端をこの火鉢の熱灰の中にしばらく埋めて柔らげたりするのであった。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
柔らげた竹の端を樫の樹の板に明けた円い孔へ挿込んでぐいぐい捻じる、そうしてだんだんに少しずつ小さい孔へ順々に挿込んで責めて行くと竹の端が少し縊れて細くなる。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
それを雁首に挿込んでおいて他方の端を拍子木の片っ方みたような棒で叩き込む。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
今圧えた手は、帯が弛んだのではなく、その扇子を、一息探く挿込んだらしかった。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
左挿しに、毛筋を通して銀の平打を挿込んだ時、先が突刺りやしないかと思った。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
」 簪を挿込むと、きりりと一文字にひそめた眉を、隠すように、傘を取って、熟と、糸七とその連を視た。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
けれども峰を横倒しに戸口に挿込んだように、靄の蔓ったのが、頭を出して、四辺は一面に濛々として、霧の海を鴉が縫うように、処々、松杉の梢がぬっと顕れた。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
洗髪の潰島田、ばっさりしてややほつれたのに横櫛で、金脚五分珠の簪をわずかに見ゆるまで挿込んだ、目の涼しい、眉の間に雲のない、年紀はまだ若いのに、白粉気なしの口紅ばかり、小肥して痩せてはおらぬが、幼い時から、踊が自慢の姿である。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫