紋切り
もんきり
名詞
標準
文例 · 用例
こういう例はあげれば際限なくあげられるかもしれないが、しかし概して自動車の音、ピストルの響きの紋切り形があまりにうるさく幅をきかせ過ぎて物足りない。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
だが、近所の評判を聞くと、万次郎という奴はもちろん褒められてもいねえが、取り立てて悪くも云われねえ、世間に有りふれた次三男の紋切り型で、道楽肌の若い者というだけの事らしいのです」「大津屋の重兵衛はどうだ。
— 正雪の絵馬 『半七捕物帳』 青空文庫
通例の場合においてこれに関する新聞のいわゆる社会面記事はきわめて紋切り形の抽象的な記載であって、読者の官能的印象的な連想を刺激するような実感的表象はほとんど絶無であると言ってもいい。
— 寺田寅彦 『ニュース映画と新聞記事』 青空文庫
彼等は口のさきで紋切り型の台詞をならべるのでは無くて、生きた証拠をたずさえて飛び込んで来たのであった。
— 異人の首 『半七捕物帳』 青空文庫
粋な芸妓などが柳橋あたりの河岸をあるいている、その背景には柳と蝙蝠を描くのがほとんど紋切り型のようにもなっている。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
こういう場合に、主人が旅人に対する質問は、昔からの紋切り形であった。
— 岡本綺堂 『木曽の旅人』 青空文庫
お芝居の紋切り型で『抑や初会の其の日より』なぞと、口説き文句も十分にあった事と察せられます。
— 青山の仇討 『半七捕物帳』 青空文庫
今から思えば、それはこうした芝居の紋切り形であるが、その当時のわたしにはそれがいかにも壮快に感じられた。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫