有相
ゆうそう
名詞
標準
文例 · 用例
そしてこの直感的理性は、その概念性の有無を除いて、本質には科学や哲学の認識と同じことで、常に事物と現象の背後に於て、或る普遍的に実在するもの――即ち自然人生の本有相――を、観照の面に映し出そうと意図している。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
然るに日本|支那等に於ける美術は、始めから全くかかる写実を無視し物それ自身が有する本質的なる実有相を、直ちに全体の意味として捉えてしまう。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
故に例えば東洋の絵は、竹を描いても虎を描いても、その植物や動物が持っているところの、真の実有相なる直情性や猛獣性やを、形以上のメタフィジックな本質から直観し、意味それ自体を直接に強調している。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
それは物の形体を見ずして本質を見、部分のデテールを描写しないで、直ちに物それ自体の実有相を表現する。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
彼は膳に向はうともしないが火鉢の前にどさりと坐つた儘、例の蟠りの有相な容子をしては右手の人さし指を掛けてぎつと握つた煙管を横に噛んで居た。
— 長塚節 『土』 青空文庫
彼は自分が一|緒に居る時は互に隔てが有相で居て、自分が離れると俄に陸まじ相に笑語くものゝ樣に彼は久しい前から思つて居た。
— 長塚節 『土』 青空文庫
「どうしたつちこともねえがなよ、俺らこつちの方通つたもんだから一寸踏ん掛つて見た處さ」おつたは何か理由の有相な口吻で輕くいつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
一条赤路貫青郊、馬上無風塵自包、走入果林有相識、採珈人是我同胞。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫