様出
さまで
名詞
標準
文例 · 用例
然様出て来ぬにも限らぬとは最初から想っていた。
— 幸田露伴 『雪たたき』 青空文庫
跡へ入って身を潜め誰か通らば救いを乞わんと思いいる内、暁方近く屠者はでっかい庖丁を磨ぎ、北の方同道でやって来て箱の戸を明け、「灰色の坊様出てきやれ、今日こそお前の腸を舌鼓打って賞翫しょう」と大いに呼ばわる。
— 猪に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
政府にしても反対党にしても、金持出やオヤ様出の人ばかりだ、しょせん金持や地主さんの為を思うてすることじゃ。
— 三好十郎 『天狗外伝 斬られの仙太』 青空文庫
私と同様出京して正則英語学校に通っていた従弟が、ある日日本橋を歩いていて握鮓の屋台に入り、三つばかり食ってから、蝦蟇口に二銭しかなくて苦しんだ話をしたことがある。
— 斎藤茂吉 『三筋町界隈』 青空文庫
……いいえ、どうしまして、……私の方こそいつも奥様出やはりましてえらいお世話になりまして、……」と、電話口でそない仲居さんがいうてるのんが何や知らんけったいですのんで、「今の電話、徳光さんとこから違いますか?
— 谷崎潤一郎 『卍(まんじ)』 青空文庫
「そら鬼だ」「甲斐守様出役だ」 群衆|雪崩を打って立ち分れると、その間を縫って、南町奉行|鳥居甲斐守|忠燿、手附の与力、配下の岡っ引共を従えて立ち現われました。
— 野村胡堂 『礫心中』 青空文庫
柏餅で腹を拵へた八五郎は、すぐ樣出動しましたが、半日經たないうち、詳しく言へば五月五日の暮れないうちに明神下の平次の家に戻つて來ました。
— 五月人形 『錢形平次捕物控』 青空文庫