夜闇
やあん
名詞
標準
文例 · 用例
霧が立って夜闇の色を濃くして来た。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
と、暗い夜闇の中に鈍く光る湖水の面がぼんやり瞳に映つた。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
けたたましい汽笛を夜闇の中に鳴り響かせながら、やがて汽車は靜にゆるぎ出した。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
」「ええ」「ふーむ、ユニークな母子叙情の表現法だなあ」 かの女は、枕元のスタンドの灯を消し、自分の頬に並べて枕の上に置いてあった規矩男の手紙を更に夜闇のなかに投げ出した。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
灯の煌めくときは周囲の夜闇を深夜のように圧し黒め、消ゆるときは一色の闇の中にも川―河岸―空と三段の区別を淡く透して宵のうちに返る灯と闇との関係は妙に互いに反対の効果を狙い合って騙し合い/\しているようでございます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
……で、その娘が舟ばたをまたぐと、巫女たちはワッとそれを取りかこんで、真っ暗な夜闇の中へ、さらって行ってしまうの。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
鳴呼、昨は夜闇くして妙義を見ず。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
まだ暁の白けた光が夜闇の衣を僅に穿つてゐる時で、薄曇の空の下、風の無い、沈んだ空気の中に、二人は寒げに立つてゐる。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫